コラム

日本のブラック部活の基準と多各方面の負の影響

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・休日や年末年始も部活動の練習や大会で休みがない

・顧問から練習中に体罰を受けたことがある

・試合に負けた罰として頭を刈り上げたり、過剰なトレーニングを強いられた

これらのような、部活動を取り巻く問題の中で一際大きな波紋を呼んでいるのが「ブラック部活問題」です。

その対象は、顧問となる教員側が受けている被害、部員として活動をしている生徒側が受けている被害、さらに生徒の保護者が受けている被害も多数挙げられています。

そもそもブラック部活の定義とは何か。

具体的にどんな被害が挙げられているのか。

解決策は何があるのか。

今後、教職課程を経て教員を志している学生の皆さんや教職過程と就職活動を併用している学生の皆さん、必見です!さらに、現職の教員の方々や我が子が所属している部活動に疑問を抱いている保護者の皆様にも知っていただきたい「ブラック部活」の現状の解決法についてお伝えします。

1.ブラック部活とは

ブラック部活の定義とは…。

実はまだ明確に位置づけされていません。

様々な記事を参考にしても、「ブラック部活とはこういう基準を超えたものだ」というものはありません。それだけ、まだまだ最近浮上した問題なのです。

今回は様々な記事をからみたブラック部活の定義をまとめてみました。

・活動時間が長く、顧問・生徒ともに拘束時間が長い

・顧問の指導により、暴力や暴言などを受けた

・顧問やチームメイトから罰則を強制された

などです。

しかし、ブラック部活となる過剰な指導がどこまでなのかという線引きが難しく、解決を難しくさせているのが現状のようです。

2.教員だけの問題じゃない?ブラック部活の実態と影響

ブラック部活が引き起こす原因となる人物は、顧問だけではありません。部活動に所属している生徒や保護者もブラック部活を作ることに手を貸しているのです。

そして、ブラック部活によって多大な影響を受けているのは顧問、生徒、保護者のみならず、さらに多くの人が影響を受けています。

今回は、顧問となる教員、所属する生徒、生徒の保護者の三者からブラック部活の実態と影響を解説します。

2−1.残業代0?労働時間、部活動に拘束される教員

第一の問題が教員の拘束時間です。

平日の入校時間の平均は8時となっており、授業が終わるのは16時30分。部活動が終わるのは19時。部活動終了後から、明日の授業の準備や担任の仕事などに取り掛かり、その際の残業代は発生しないのが現状です。

土日の残業は、指導料2時間分の3000円となっており、交通費や昼食代等は個人負担になるので、実質半分以下の残業代となります。また、学校の授業がない土日も部活動に当てられるので、教員の休日は月に一度あるかないかという状況になります。

これが教育現場の現状です。ほとんど残業代は出ず、ボランティア活動となっています。

第二の問題として、専門性に欠けた指導です。

調査によると「教員の全員が何かしらの部活動の顧問を担当する」ことをルールとしている学校は70.2%にもなります。さらに、担当する部活動を管理職や部活動担当の責任者で決めた(=専門外の部活動の顧問をする可能性がある)という学校はその内の22.3%となります。

http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/28641/1/edu_48_28.pdf

たとえ、体育大学で体育教員の免許を取得した教員でも、専門の部活動に担当できる可能性も低く、さらに体育教員免許以外の教員免許を取得された教員は運動指導できないのにも関わらず、運動部の顧問になるということも頻繁にあります。

競技の専門知識も運動についての基本知識がなく、さらに日々の授業資料や生徒の生活指導・各行事準備・テストの採点など。さらに教員の時間は削られる一方です。

教員が本職である生徒の学習について時間が割けない、現在の教員現場は何かを見失っているようにも感じ得ます。

さらに、文部科学省によると、運動部活動での指導の充実のために必要と考えられる7つの事項として、以下のことが挙げられています。

http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/jyujitsu/__icsFiles/afieldfile/2013/05/27/1335529_1.pdf

これは、これから教員になり部活動の顧問になる可能性のある学生たちや、現在

顧問を持っていて部活動について疑問を抱えている教員の方々、そして生徒の保護者の方々にも見ていただきたい。

そして、こちらを簡潔にまとめてみました。

上司や周りからの理解と支援を受け、生徒達主体の活動を行えるように、顧問がサポートする。顧問は体罰と指導を区別し、科学的な指導方法を取り入れていく。

そう、ただそれだけなのです。

部活動は生徒にとって、「自主的に考え、行動をする」という良い影響があります。教員にとっても、生徒の生活指導の一部にもなり得る良い活動なのですが、解釈を一歩間違えると過剰な指導など行き過ぎたものになってしまいます。教員が加害者とならないように何をすべきなのでしょうか。

2−2.逃げられない!生徒は全員強制入部? SNSで拘束される生徒達

未だに学校単位で“強制入部”を強いる学校は存在しています。2008年の調査では、岩手県では99.1%の学校が部活動加入の義務づけをしているとの状況です。

しかし、部活動とは文部科学省によってこのように位置付けされています。

  1. 運動部活動は学校教育の一環として行われるものです
  2. 運動部活動は、スポーツの技能等の向上のみならず、生徒の生きる力の育成、豊かな学校生活の実現に意義を有するものとなることが望まれます
  3. 生徒の自主的、自発的な活動の場の充実に向けて、運動部活動、総合型地域スポーツクラブ等が地域の特色を生かして取り組むこと、また、必要に応じて連携することが望まれます

学校教育の一環として用いられるのが部活動です。学校から強制される活動でもありません。そして、生徒間でも強制するものでもありません。しかし、学校内での小さな人間社会では大勢が加入する部活動に加入しないとなると、人間関係の構築に苦戦することも挙げられます。

実際に筆者の体験ですが、筆者の出身中学では、暗黙の了解で部活動所属はほぼ強制でした。運動部と文学部の所属は生徒の自由で、各々興味のある部活動に進み、三年間を過ごしました。

しかし実質、運動部に所属する生徒は「文武両道である」と学校側からも生徒内からも評価されているという現状でした。実際にその評価を盾にして文化部の生徒を蔑むという現状もあったほど。関わるグループは部活動ありきで構成され、そのほかは淘汰されたと言っても過言ではありません。

このようにして、学校という小さな人間社会という世界での人としての優劣がつけられてしまうのです。

さらに、現代ではSNSというネット間での生徒のやり取りで、「部活動をやめたくてもやめることができない」という環境ができてしまっています。部活動を途中でやめてしまうと「弱者」というレッテルを貼られ、メンタルが弱いやつなんだと影で言われることもあります。

他にも、顧問からの体罰や理不尽な指導の被害。連日の長時間練習による疲れやそれに伴うスポーツ障害、学習への支障なども被害として挙げられます。

2−3.金銭面、人間関係…多方面から圧迫される保護者

実は、生徒の保護者も部活動によって多大な影響を受けているのです。練習見学や試合の送迎、合宿・OBOG会の運営など、保護者が参加するイベントも多く存在しています。しかし、共働きで資金難にも関わらず、参加するイベントも多い。

様々な運動部では、保護者の援助なしでは運営できないとも言われています。そして、保護者の参加が少ない学年は他学年からの風当たりが強くなることも。人間関係だけでなく、合宿費・練習道具費用・栄養補助食品などの資金面でも保護者に圧迫をかけていきます。

このように、顧問・生徒だけでなく、その保護者にも大きな影響がある。それがブラック部活動です。

3.ブラック部活を変える!私たちができる改善策とは

さて、これまで部活動についての現状をお伝えしました。

このようなブラック部活に対して、私たちはどう改善を取っていくべきなのでしょうか?私たちができることは何があるのでしょうか?

今回は顧問目線での部活動問題の改善方法を3つあげました。

・部活動手当の見直し

・体罰と指導の区別をしっかりつける為、基準を設ける

・非科学的な指導内容を改め、指導力向上の研修会等の機会を設ける

こちらについて、お話します。

3−1. 低賃金が問題?「部活動手当の見直し」

第一に挙げられるのは、「部活動手当の見直し」です。

現在、部活動顧問は完全ボランティアになっています。一般企業が残業代を支給するように、公務員である教員にもこの制度を取り入れるべきです。

ただし、これだけでは単なる残業を促すだけの対策になってしまいます。教員の本業である授業や生活指導等に力を注ぐことができなくなっているのがブラック部活の現状です。それを改善するためには、もっと根本から改善をするべきなのです。

また現在、雇用問題として多く取り上げられているのが、大手企業の相次ぐブラック企業の社会問題です。しかし現在は会社勤めのみならず、教育現場でも同じような問題があります。

「公務員だから」「教員は別」という考えを排除するべきです。教員も一人の労働者であり、適切な手当てを受けるべきだということを認識し、声を上げることが私たちにできることです。

3−2.体罰を容認しない!「体罰と指導の区別をするための基準を設ける」

第二に、体罰と指導の区別をしっかりつける為、基準を設けることです。

では、良い指導とは何か。

体罰によって、生徒を怖がらせ恐怖心で縛り付けることが良い指導なのか。生徒が生徒自身で考え、実践できるような環境を作ることが良い指導だと考えます。

強豪校ともなると、結果を残さなければならないというプレッシャーもあります。長時間練習や罰則による厳しい指導の上で耐え抜くことで精神力が鍛わり、勝つことができるという考えは違うと考えます。生徒自らが考え行動し、お互いに切磋琢磨できる環境を作ることが顧問の役目ではないのでしょうか。

3−3.「非科学的な指導内容を改める」

そして、第三に非科学的な指導内容を改め、指導力向上の研修会等の機会を設けることです。

部活動指導の根本として、顧問だけの責任にすることは違います。

「競技について何も知らないのにも関わらず、顧問を任せることが悪いことだ」という知識不足の点が問題だということではなく、「競技について、その競技を専門分野として本職にしている人材に任せるべきではないのか」というのが私の考えです。

しかし、教育現場の現状として外部から部活動の指導者を雇用する金銭面の問題もあります。学校側からの支給では足りないとなると、国からの支援が必要となります。教育現場を変えるためには、日本国全体での改善が必要となるのです。

4.今後のブラック部活を変える!今後の動きとは

以上のことをあげましたが、現在、学校での部活動の在り方を見直す動きが盛んになっています。最近、あげられた二つの記事より今後の部活動の在り方を読み解きます。

4−1.“卒業生を加害指導者にさせない! 日体大が超本気で企画した「一生もの」の講義とは”

http://bylines.news.yahoo.co.jp/katoyoriko/20161215-00065403/

この記事は体育大学に通い、教員を志す学生達に向けた講演についての記事です。

教員を志す学生達に必要なのは、専門知識や技術だけではありません。教員に必要な考え方を養うことも必要です。

体育大学に通っている学生は、中学高校生時代に厳しい部活動指導を受けてきた学生が多いです。そして、現に教員として部活動指導においてどうしたらいいかわからなくなってしまった時、自身が経験してきたことを実践してしまうというケースが多くなっています。

自身と同じ辛い経験を生徒達に繰り返さないためにも、実際に起きた事件の被害者の方々の話を聞き、事件を未然に防ぐことも非常に大切です。このような講演が体育大学のみならず、教育課程のある大学や高校生達にも広まってほしいですね。

4−2.“部活指導に「国家資格」 民間参加、教員負担減も”

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016121302000122.html

この記事は自民党がスポーツ振興策として、学校の運動部の指導に外部人材の活用を進め、スポーツ指導者の新たな国家資格制度を創設する構想が浮上しているという記事です。

教員の負担を減らすための素晴らしい政策です。しかし、資格内容で安全管理だけでなく、生徒との関わり方や学校側との連携をしっかりとることが着目点となります。

スポーツや身体について正しい知識を持った人材が、教育のプロフェッショナルの教員と協力していくことで、より良い教育環境の第一歩となります。

4−3.これからの部活動に大きな変化が!部活に「休養日」を儲ける!?

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-07/2017010701_03_1.html

このような事態に文科省が動きました。部活動に対する休養日を設定するように求める通知を出しました。

これは、部活動に対する考え方や教員の働き方に対して大きな変化があったといえます。しっかり休養をとることの重要性が浸透してきたとも言えます。教員の負担が少しでも減り、より良い教育現場を作ることに世の中が変わってきていますね。

5.まとめ

これから教員になる学生の皆さん、現在教育現場で働いている教員の皆さん、部活動で実際にスポーツをしている生徒達、それを支える保護者の皆さん。

ブラック部活という概念にとらわれず、すべての子どもたちが安全かつ楽しく運動に関わることが2020年に控えるオリンピックの開催地として、さらにその先の日本に必要なことになると思います。

運動を楽しむために、子どもたちが安心して運動ができる環境について考えるきっかけになることがこの記事の願いです。

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