負荷のかかる練習をした時にハムストリングス(ももの裏)が気になる。それが原因でダッシュやジャンプのパフォーマンスが弱くなり、思うように結果が出なくて悩む方も多いです。ハムストリングスは日常生活の中であまり意識的に使うことがないために、筋肉が硬くなっていたり動きが悪いことに気づきにくい部位でもあります。
しかし、ジャンプやダッシュなど瞬発系の動作をする競技にとってこのハムストリングスは競技成績やパフォーマンスに大きな影響を与えます。ここでは日々練習で負荷のかかっているハムストリングスのケアについてストレッチをご紹介します。ぜひ実践してケガ予防とパフォーマンスアップをしてください。
Contents
1.ストレッチは危険!症状を悪化させないための注意点
ハムストリングスのストレッチをする上で気をつけなければならないのが、ストレッチしてもいい状態か見極めることです。ハムストリングスは運動強度に耐えきれなく、肉離れを起こしやすい部分です。それにも関わらずさらにストレッチで伸ばしてしまっては症状が悪化し、競技復帰までに時間がかかってしまいます。
そうならないためにも、以下のような症状がある場合はストレッチをするのが危険だという判断をします。ひとつでも当てはまる方はストレッチではなく以下に紹介する太枠内の方法をお試しください。
◆患部が熱を持っている
◆鋭い痛みがある
◆痛みでカラダを動かせない
◆ストレッチの姿勢を継続できない
◆幹部が腫れている
いかがでしょうか。当てはまる方は下記のRICE処置を行いましょう。
筋肉が熱を持っていてストレッチができる状態ではない。その方はストレッチではなく、まずは応急処置方法であるRICE処置を行うことで筋肉への損傷に素早く対応し、回復を早めます。RICEは安静(Rest)アイシング(Ice)圧迫(Compression)挙上(Elevation)の頭文字からなる応急処置方法で、多くのスポーツ現場や事故などの緊急事態の現場でも用いられる有名な手法です。いかに詳細をお伝えします。
痛みが出た直後から体内では、痛めた部位の修復作業が始まります。この時に運動や肉体労働を継続すると回復までの期間が長引きます。早期回復するためには、安静にすることが大切です。
Ice(アイシング)
患部を冷やすことで痛みを減少させることができ、アイシングによって血管を収縮されることによって腫れや炎症をコントロールすることができます。
Compression(圧迫)
患部を圧迫することで、腫れや炎症をおさえます。圧迫の強さはある程度の動きが出せるくらいに、しびれなどが出ないように注意しましょう。
Elevation(挙上)
心臓より高い位置に患部を上げることで重力を利用し老廃物や腫れなどをおさえます。脱力して持ち上げられるように補助になるようなものを活用すると効果的です。
2.パフォーマンスを引き出す強度別ハムストリングスストレッチ4選
ダッシュやジャンプ力などを上げるためには、日々の練習の中でハムストリングスの柔軟性を高めておく必要があります。別名「ランニング筋」とも呼ばれるハムストリングスは膝を伸ばした状態で立ち、前屈した時に手の指先が床につかないと柔軟性が欠けていると言われています。
ここでは練習前後だけでなく、日常生活の中でできるようにシーン別にできる4つのストレッチを選定しました。以下の4エクササイズは強度別になっており、1~4にかけてストレッチの強度が増していきます。1番はじめにご紹介するストレッチがきつくてできない方は、上記のRICE処置を継続して行うことをおすすめします。まずは以下にご紹介するストレッチを行い、常に柔軟性を高めパフォーマンスを引き上げましょう。
2−1.立った状態で行うストレッチ
エクササイズ方法:
リラックスした状態で立ち、片脚を一足分前に出します。この時かかとを床面につけてつま先を上げます。(90度くらいを意識します)
手で外くるぶしを触れるようにして上半身を前に倒していきます。ハムストリングスが伸びているのを感じながら左右30秒を目安に伸ばしていきましょう。
2−2.座った状態で行うストレッチ
エクササイズ方法:
上の写真のように片脚の裏が反対の内ももにつくようにして膝を曲げます。伸ばしている方の脚のつま先をつかむように、カラダを前に倒します。背中が丸まらないように背筋を伸ばし、おへそがももにつくイメージでカラダを前に倒すとハムストリングスが伸びます。左右30秒を目安に行いましょう。
2−3.仰向けでのストレッチ
エクササイズ方法
まずは仰向けで横になり、片脚を床で伸ばした状態でもう片方の脚は伸ばした状態に。片足を上へ持ち上げてから90度を意識して折り曲げます。ももの裏を両手で抱えるようにして、胸の方に引いていきます。下で伸ばしている脚が地面から浮かないように気をつけるのがポイントです。自然な呼吸で気持ち良く伸ばしながら左右30秒を目安に行いましょう。
2−4.立て膝で行うストレッチ
エクササイズ方法:
前後膝の角度が90度になるようにして姿勢を安定させます。おへそがももにつくようなイメージで上半身を前に倒し、床に手をつきます。両手を床についたままお尻を後ろのかかとにつけるようにして下していきます。(この時前の膝は伸びてきますがハムストリングスが伸びていれば問題ありません)引いた状態で自然な呼吸をしたまま左右30秒を目安にストレッチをしましょう。
3.ストレッチの効果をさらに高めるエクササイズ3選
ストレッチの効果をさらに引き上げていくためにここではツールを活用したエクササイズをご紹介します。何も使わない状態ではうまく伸ばせない方や、効果を追求したい方にはオススメの方法ですので、ぜひお試しください。
3−1.タオルを活用して伸ばす範囲を広げる
タオルを使って脚を引っ張ることでストレッチの可動範囲を広げることができます。あまり引っ張りすぎるとカラダに力が入ってストレッチする事ができなくなるので、リラックスして引く事ができる範囲で行いましょう。
エクササイズ方法:
仰向けで横になり片ひざを曲げ、かかとにタオルをかけて両手で持ちます。肩に力が入らないように注意して、膝を伸ばしながら上半身を床へつけましょう。この時伸ばしている反対側の脚が曲がらないように注意しましょう。無理にカラダに引っ張らないのがポイントです。左右30秒を目安に行いましょう。
3−2.段差を活用したエクササイズ
伸ばす方の脚を少し高い位置に置く事で筋肉へのストレチ強度を高めることができます。脚を置く高さは10〜20cmくらいを目安に行うと良いでしょう。ここでは段差の代わりにストレッチポールを活用しています。
エクササイズ方法:
足が外側に来るように膝をまげて反対側の脚を伸ばしてストレッチポールにのせます。伸ばしている脚の太ももと胸をくっつけるようにして上半身を前に倒します。(多少背中が丸まってもストレッチがかかります)。気持ちよい伸び感のあるところまで倒し自然な呼吸をしながら左右30秒キープです。
3−3.腱に刺激を入れて筋肉を伸ばしやすくする方法
私たちのカラダは、腱に刺激を入れることで筋肉を一時的に緩める性質があります。効果を高めるためにストレッチ前に刺激を入れることで普通に伸ばすよりもさらに伸ばすことができます。
エクササイズ方法:
お尻とももの付け根にストレッチポールを当てて圧をかけます。5〜10秒くらい圧をかけましょう。(人によっては少しピリッという感じを受ける方もいます。)
※痛くない方はそのままストレッチをしても大丈夫です。
圧をかけたら 片方の膝をまげて反対側の脚を伸ばします。伸ばしている方のももにおへそをつけるようなイメージで上半身を倒し、気持ちよい伸び感のあるところで自然な呼吸をしながら左右30秒キープです。
4.まとめ
ハムストリングスは、運動パフォーマンスを高めるために重要な役割を担っています。日々の練習や生活の中で緊張してしまった筋肉を上記のストレッチでほぐしていきましょう。日々のケアはパフォーマンス向上だけでなくケガの予防にもなります。毎日の隙間時間を有効活用して行うようにしましょう。